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2017 3/22 08:00 更新

加美町「天上夢幻」醸造元 中勇酒造店 蔵見学

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加美町「天上夢幻」醸造元  中勇酒造店さんにお邪魔させて頂きました。
前回 訪問したのは2008年(← リンク)。実に9年ぶりです。

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シンボルの煙突。
以前はもっと長かったそうですが、震災でヒビが入り、半分に短くしたとのこと。

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中島社長と、ご子息の崇文さんが出迎えてくださいました。お忙しい中 ありがとうございます!

崇文さんは大学卒業後、東京の酒卸問屋に入り、4年半流通の勉強をした後、蔵入り。
私が初めてお目にかかったのは、塩釜の阿部勘酒造さんで半年間修行をされている時でした。
「阿部勘」醸造元 阿部勘酒造店 蔵見学(←リンク)
現在は蔵元としての動き以外に、一昨年デビューさせた「花ノ文」シリーズ等 企画を担当されています。

「先月28日に甑倒しを終えたばかりなんですよ」という話しから始まり、最近の動向をいろいろ説明してくださり…
中でも一番驚いたのは、ナントッ! 昨年、女性の蔵人が入社したそうなんです。
「え~!そうなんですか!蔵内の雰囲気は変わりましたか?」「男性と同じように現場に入っているですか?」と、興味津々で根掘り葉掘り聞いていると…

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ご本人登場!!!カワイイ!

津田 麻莉恵さん 東京出身で現在25歳。
人を介して紹介を受け、日本酒造りに興味を持ち、中新田に。
華奢な体付きをしていますが、登山が趣味で、山登りの時にはかなり重い荷物を背負うらしく、蔵内では米を担いだり、男性と同等の仕事をしているそうです。
加えて早稲田出身の才女!英語も堪能で、中勇さんに入る直前は3ケ月間イスラエルを旅していたとか。
良い人材 見つけましたよね~!!

今年からは「麹担当」だそうで、崇文さん曰く「とても意欲的なので、先輩蔵人も教え甲斐があると思います。初年度から良い麹が出来ているのでセンスがあるのかもしれません、毎年感覚を磨いていってもらえれば嬉しいです。」

とにかく麻莉恵さん、瞳がキラキラ眩しいこと!!
“日本酒造りが楽しい!”というのが非常に伝わってきました。

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蔵見学はまず釜場から。非常にクラシカルな洗米機。初めて見ました。

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横に回転しながら洗米する機械です。
50年以上も前の機械ですが、それでも現役バリバリに稼働しているとのこと。
というのも、製造部長の上野杜氏が前職大手電機メーカーに勤務しており、ある程度の機械トラブルは対応できるそうで、蔵内の随所に、様々な工夫が施されていました。

中勇酒造店の酒造りに対するこだわりの一つが、“全量限定吸水”による原料処理
麹米も掛米も全て10kgずつザルに取り、秒単位で吸水時間を 調整しています。

そして二つ目のこだわりは“直火和釜蒸し”
鉄製の釜の下から火をおこし、お湯を沸かして米を蒸しあげます。
メンテナンスの手間は非常に掛かりますが、昔から和釜を使用している為、杜氏が慣れているのと、
蒸し具合の良さを優先して、大切に使い続けています。

蔵内に井戸はあるものの、残念ながら酒造りに適した水質ではないため、色麻町の採水場まで毎日20分かけて汲みに出かけているそう。

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こちらが専用車。多い時は日に4往復!!!大変だわぁ~w(゚ー゚;)wワオッ!!
奥羽山脈の流れを組んだ中軟水で、米に接触する工程は、全てその水を使用しているとのこと。

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昔ながらの和釜。

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下を降りていくと…

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昔使っていた炉がそのまま残っているんですね!
雰囲気があって ステキ~(^^) 何か有効利用できないものでしょうかね。

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酒母室

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袋搾りもこちらで部屋でやっているそうです。
天井は保冷効果を高める為、アルミシートが貼ってあります。
酒造りの時期が終わると、製品化した酒の冷蔵貯蔵庫としても使用します。

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一見 「斗瓶」かな…?と思いきや 何か雰囲気が違う。
メキシコのテキーラ用のボトルを、瓶商社から譲り受け、有効活用しているそうです。

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麹室

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既に甑倒しを終えたため 床(とこ:蒸した米を広げ 手入れをする台)の上には、道具類が置かれています。

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冒頭、社長から説明を頂いておりましたが、こちらが15年前に導入した自動製麹装置。
麹を棚の上に薄く盛り、設定したの温度・湿度経過パターンを機械で制御するので、現在泊まり込みでの夜間作業は
ほぼ無いそうです。

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製品の酒質に合わせて経過パターンの設定を変えられるとのこと。

以前は南部から「麹屋」を呼び寄せていましたが、80歳の高齢に伴い引退。
その技術を次世代へどう継承すべきか、悩んでいたこともあり、導入したものです。
「1日目の作業は蔵人による手作業で。2日目の“盛り”作業は、麹屋が担ってきた作業を全て、プログラムとして入力し、数年間試行錯誤しながら進めてきました。」(中島社長)

崇文さんもそれを受け、
「酒蔵での作業は重労働も多く、作業場毎の温度差も激しい為、肉体面・精神面でも健全でないと、毎年酒造りのシーズンを乗り越えることができません。
そんな中で働いてくれる社員が、自分の時間や家族との時間をきちんと確保できるか、人材確保の為にも、今の時代は労働環境を整えることが非常に大事。自分にも子どもが出来て、余計実感できるようになりました。」

そうなのです!私達がお邪魔する1週間前、第一子が誕生したばかり!身をもって感じているのでしょうね。

「手作業でこだわる工程はしっかりと、
機械で対応できる所は上手に使って、蔵人の負担を少なくしていきたいです」と話す姿が印象的でした。

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(もろみ)

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2月16日に仕込んだ濁り酒の醪。
ぷくぷくと発酵する音が聞こえてきます(^^)

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この場所、中勇酒造店さんに伺って見たかったポイントのひとつなのです。
日本酒の製造工程がわかりやすく手書きで、フロー化されているもので、中島社長お手製のもの。
見事ですよね!!
蔵の中にはこれ以外にも、完成度の高い手書きの造作物がいろいろ飾ってあり、それを見てるだけでも楽しいです。自社の酒ラベルの文字は、もちろん社長の文字!
絵心がある方なんですね。(ちなみに奥様はプロの書家です)

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手作りの火入れ機。

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無駄なくシャワーが当たるように、正方形状のシャワーが出るように工夫されているんだとか。
上野杜氏なんでも作っちゃうんですね。スバラシイ!

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最後に試飲をさせて頂きました。
ありがとうございます!

限定流通の「花ノ文」 純米大吟醸 山田錦40%精米
天上夢幻 大吟醸 山田錦40%精米
天上夢幻 大吟醸 山田錦40%精米(タンク違い)
「花ノ文」 純米吟醸 雄町50%精米(近々発売予定)

個人的には一番ラストの雄町が好きでした。
甘みをほのかに感じ、やわらかい。
一般的な雄町を使ったお酒に比べると優しいトーン。でもしっかり旨みがある。

これ買いたいわぁーーー♡♡♡

今まで当社の酒は、綺麗で澄んだ酒質をイメージして天上夢幻をラインナップしてきましたが、今後は“キレイでありながら、もっと味わいの含んだ酒”を出していきたいと考えていますと崇文さん。

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その第一歩が「花ノ文」シリーズであり、今季新たに雄町が仲間入り。
今後の取り組みがますます気になる所ですね。

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丁寧にご案内頂き 本当に感謝いたします。
ありがとうございました!!

関連リンク===
日本酒蔵探訪紀

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